建具の不具合は建物の健康状態を知る上でのバロメーターになります。注意深く観察チェックしましょう。
目次
建具の建付けが悪く工務店の調整では治りませんが、どうしたらいいのでしょう。
“新築住宅に住んで3ヶ月もしないのに引戸に問題が発生しました。
引戸を最後まで閉めても、少しだけ開いてしまい隙間が出来てしまいます。
工務店に補修工事を依頼しましたが、ドアの上部部分(トップ)にネジをいれて調整しただけでした。
一時的に改善されましたが、1カ月ほど経つと同じ症状になります。
ネジを上部にいれただけの調整なので、ドアを閉めるときの音も気になります。
他の工務店場合には、どのような補修工事や調整になりますか?
もっと他の調整法があるのではないのかなと思ってしまうのですが・・・
せめて数年住んでからの補修工事でしたら問題ないとは思いますが、建築して3ヶ月もしない内に建付けが悪くなったことが気になります。
また、ドア上部にネジをいれて補修工事という内容が気になります。
解決法はありますか?“
建具の建付け、特に外部に面する建具の建付けが悪いと隙間風につながったりします。
それに、建付けが悪い原因が家の傾きだったりすれば、家の安全性に根本的な疑問を呈することになります。
相談者の場合は築1年以内の新築なので、工務店という窓口があるからまだいいとして、長く住んだ家の建具を直すのに一体どこに連絡すればいいのでしょうか?
まずは、建具の建付けが悪い時の対処手順を知りましょう。
建具の建付けが悪い時の対処手順
まずは、建てつの建付けが悪い原因を調べましょう。
建具の建付け悪い箇所のチェック
家の構造は木造でしょうか。
鉄筋コンクリート造でしょうか。
建付けが悪い箇所は一か所でしょうか?
建付けが悪い建具の家の中での位置を確認しましょう。
その上で、なぜその建具だけが建付けが悪いのかを調べます。
丁番、枠の取り付けネジなど金物原因による建付けの不具合
丁番のネジがゆるむことによって建付けが悪くなります。
ネジがゆるんでいないかをチェックします。
引き戸の場合、ローラーやレールが壊れたりしていないかをチェックします。
埃や異物による建付けの不具合
引き戸の場合、レールやローラーに誇りや異物が噛んで、回転などが悪くなっていないかを調べます。
木材建具の伸縮による建付けの不具合
木材の特徴として吸湿、排湿するという性質があります。
湿度が高い、雨が降りかかるなどして木材が膨張し、それが原因で建具の建付けが悪くなる場合もあります。
また、建具自体の板の取り方により湿気によるわずかに反りが生じることによって、動きが悪くなることもあります。
梅雨の時期などに多いトラブルと言えます。
建具を支える下地である柱、床、枠の木材が伸縮したことによる不具合
建具そのものの変形ではなく、土台の構造体の膨張などにより建付けが悪くなる場合もあります。
建物の傾斜による建付けの不具合
家の建具の多くが建付け不具合を起こしている場合には、建物そのものが何らかの理由で傾いていることも考えられます。
建物が傾いていると、まっすぐにつくった建具のはずが、隙間ができたり、動きが悪くなります。
この場合、家の構造だけではなく住人にも健康障害が出る場合もあります。
平衡感覚に支障をきたしめまいなどを起こすのです。
感覚障害に陥ることもあります。
建物が傾いているかどうかを調べるには、下げ振りを利用します。
下げ振りは大工さんが墨出しの際に使う道具ですが、五円玉などを使用し簡単な装置をつくり、壁面が垂直かどうかを調べます。
また、床にビー玉を転がす方法で調べることもできます。
各部屋で試してみましょう。1mで6mmの傾きがあるとその建物は傾いていると診断できます。
不同沈下による建付けの不具合
建物が傾く理由として考えられるものに地盤の不同沈下があります。
地震なとにより地盤が液状化するなど、ゆるみが生じて立っている家の地盤が沈下することがあります。
ゆるい地盤には構造計算により杭を打ちます。
打った杭が岩盤に届いていないなどの何らかのトラブルにより地盤沈下が起きて家が傾きます。
その場合は、家の建具に支障を及ぼしやすいのです。
内外の壁や基礎などに亀裂が入っている、クロスがよじれているなど、建物全体に異変がないかを調べます。
不同沈下が認められた場合は、沈下修正を施し建物のゆがみを戻す必要があります。
方法は「硬質ウレタン注入工法」「セメント系薬液注入工法」「ジャッキアップ工法」などあります。
工法選択はケースバイケースですから、構造専門家に相談します。
建付けの悪い建具の調整法
建具の不具合の調整法を見ていきます。
片開ドアの建付けが悪い場合の調整手順
①丁番の四隅にある取り付けネジのゆるみがあれば締めます
②丁番の四隅以外のネジは調整ネジです。ドアのどこがこすれているかを調べながら調整ネジを使って、開閉確認をしながら調整します。
③不具合が調整できない場合は建具屋さんに相談しましょう。
引き戸の建付けが悪い
①引き戸をレールから外して、レールやローラーの破損がないか、埃や異物が噛んでいないか調べます。
②レールが変形して居たり、建具につくローラーが破損している場合は建具屋さんに相談しましょう。
③破損がない場合で、調整ネジなどが付いている場合はネジがゆるんでいないかを調べましょう。
④建具に問題が見られない場合は、木材の伸縮によるものとも考えられます。家を建てた工務店に相談しましょう。
建物が傾いている恐れがある場合
よくよく調べて建物が傾いていると自己判断した場合、建物の図面を確認します。
地盤の状況や基礎の仕様についての記述を見ます。
また、中間検査や完了検査証は図面通りに工事が為されたことの証明になりますから手元に用意し、工務店に傾きの調査を依頼し原因を調べてもらいましょう。
建具修理・交換リフォーム費用相場
- 障子の張替え工費(交通費など諸経費別):約2,000/本~
- 障子の建付け調整(交通費など諸経費別):約1,500/本~
- 障子取り付け(交通費など諸経費別):約18,000円/本
- 襖取り付け(交通費など諸経費別):約14,000円/本~
- ドアノブ交換(交通費など諸経費別):約7,000円/個~
- 開きドア丁番・建付け調整(交通費など諸経費別):約2,000/本~
- 開きドア取り付け(交通費など諸経費別):約17,000円/本~
- 網戸調整(交通費など諸経費別):約1,500円/本~
- 網戸剥がし・張り(交通費など諸経費別):約2,000円/本~
- 網戸の取り付け(引き戸用)(交通費など諸経費別):約2,500円/本~
- 建具業者諸経費:約4,500円/人~
- サッシ建具修理(諸経費含む):約1万円~3万円
- 木製扉のキズ修理(諸経費含む):約2万円~4万円
- 丁番の交換(緒経費含む):~約4万円
まとめ
建具の不具合は建物の健康状態を知る上でのバロメーターになるという事がお分かりいただけたでしょうか。
建具は人の健康を守っているのですね。