ライフスタイルに合わせて自分好みの空間をつくれるリノベーション。そもそもリフォームとはどう違うのか、築30年以上のマンションで気をつけるべきことは何か、解説していきます。
目次
リフォームとリノベーションの違いは?
一般社団法人リノベーション協議会によると、こう定義されています。
リフォーム
原状回復のための修繕・営繕、不具合箇所への部分的な対処。
リノベーション
機能、価値の再生のための改修、その家での暮らし全体に対処した包括的な改修。
実は、リフォームとリノベーションに厳密な定義や線引きはありません。リフォームは、一般的には「古くなった建物を新築同様の状態に修繕・回復する」という意味合いで使われることが多いです。例えば、古くなったキッチンを最新のものに取り替えたり、傷が目立つ壁紙を張り替えてキレイにしたり、といった工事がリフォームといえます。それに対してリノベーションは、既存の住宅を住む人のライフスタイルや好みに合わせてつくり変え、新たな価値を与える全体的な改修のことをいいます。
・ファミリー向けの3LDKを2人暮らしに合った1LDKに変更する
・趣味のための広い土間や、シアタールームなどを作る
・耐震補強や断熱工事など、機能性を向上させる
こういった工事が、いわゆるリノベーションといわれています。
築30年のマンションの配管はこうなっている
この写真は築30年のマンションの配管。内側に付着しているものは赤さびです。衛生的によくないだけでなく、放っておくと配管が更に劣化し、水漏れの原因になります。配管は素材によっても寿命が異なりますが、水配管用亜鉛めっき鋼管で15~20年程度、比較的寿命が長いといわれている硬質塩ビ管でも30年程度です。
重要インフラ13項目の刷新
リノベーション協議会では、住宅の重要インフラとして、13項目が定められています。それぞれ下記のような検査をし、一定の品質を確保したリノベーション工事は「適合リノベーション」として認定され、保証されます。コンクリートのハコに新築注文住宅をつくるイメージ。内装はもちろん、配管などのインフラ部分も新調されるのです。
給水管
給水管に漏水がないかを確認するために試験。一定時間、 配管に 水圧をかけて圧力の変化を調べます。
給湯管
給湯器を作動させ、水栓からの吐水状況を確認します。給湯管の漏 水がないか、水圧をかけて確認します。 また、追い焚きがある場 合は、自動給湯、追い焚きを実施し、正常であることを確認します。
排水管
キッチンや浴室など設備から同時に排水した場合においてもオーバ ーフロー(逆流、溢れ)などの排水不良がないことを確認します。
ガス管
ガス管については、ガス会社にガス系統の開栓を依頼します。ガス 会社は開栓時にガス漏れなどの検査を実施し、合格の場合のみ開栓します。
電気配線
電気設備はその施工方法が適切でなければ、漏電・感電・火災など の災害を招く恐れがあります。安全に使用できる状態であることを検査・確認します。
分電盤
電気設備の重要インフラである分電盤について異常がないか点検します。
情報系配線
テレビ、電話、LANについて、断線等の不良がないかを確認します。 また、テレビについては、電波の受信を確認します。
換気設備
換気設備については、各設備を作動させて正常に排気していることを確認します。
防災設備
住戸内に住宅用火災警報器が消防法等にのっとって設置されている かを確認します。
下地
床・壁・天井の下地組については、歩行・目視・打診によって施工 不良や腐食などによる強度不足がないか確認します。
浴室防水
在来工法の浴室については、24 時間の水張り試験を実施して漏水がないことを確認します。 ユニットバスの場合は、FRP 製防水パンが止水信頼性の高い構造で あるので、水張り試験は行いません。
配管にヒビが入り、漏水。その場合の責任は?
築30年のマンション。フローリングと床スラブの間にある排水管にヒビが入り、漏水が発生してしまいました。その場合の責任はどこにあるのでしょうか。まずこの排水管が専有部分なのかどうかが争点です。
標準管理規約の第7条3項によると「専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする」と記載があります。ここでいう「専有部分の専用に供する」か否かは、設備機能が各住戸の専用のものか、共用のものかにより決定されます。具体的には、配管などの本管は共用部分であり、枝管は、専有部分と考えられます。
今回の例では、排水管はフローリングと床スラブの間ということですから、専有部分と考えられます。専有部が原因で漏水などの被害があった場合、所有者が責任を負うことになります。
リノベーションに特化した業者を選ぶ
マンションは主に鉄筋コンクリートでできており、その寿命は国交省の研究例によると100年以上とされています。築30年であればまだまだ修繕すれば住めるのです。快適に住むにあたっては今日ご紹介したように、配管などのインフラ部分の新調がオススメ。すべて解体して配管から変えるような大規模リノベーションを検討する際にはリノベーション協議会のサイトを是非参考に業者選びをしてみてはいかがでしょうか。
参考:リノベーション協議会