家を手放すのではなく、何か活用法はないか?という場合に、今市場も充実しつつある民泊にするという選択肢について考えていきます。まずは、民泊について知識を深めましょう。
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「今住んでいる家の家族構成が変わり、部屋が空いてしまっている。」というケースは多く、年をとったらマンションに住み替えるという選択をする人も増えています。
けれども、親から引き継いだ、住み慣れた土地から離れがたいと思うこともあります。
家を手放すのではなく、何か活用法はないか?という場合に、今市場も充実しつつある民泊にするという選択肢について考えていきます。
まずは、民泊について知識を深めましょう。
民泊とは?
「民泊」とは一般の人が暮らす民家、または空き家に宿泊費を支払い泊まることを言います。
バックパッカーなど旅行者が「トイレ・ベッド・シャワー」のある所に安く泊まれる場所と、宿泊OKの民家とのマッチングサイトであるエアー&ビーが2008年ごろからサンフランシスコで開始した民泊情報サービスには2017年現在191か国65000都市、300万件のリストが登録されるまでに広がりを見せています。
日本の環境立国政策もあいまって、今後も需要拡大する見通しがあります。
民泊のメリット
民泊のメリットはどんなところにあるのでしょうか。
民泊経営者のメリット
- 初期投資が低く抑えられ民泊ビジネスが成立しやすい
- エア&ビーのようなマッチングサイトのサポートで簡単に誰でも参入しやすい
- 運営やメンテナンス(掃除など)民泊施設管理業務請負業者にアウトソーシングし運営負担を軽減できる
- 持ち家の空き部屋・空き家を再利用できる
- 旅行者を「評価」で選択できるので、リスクが低い
- 反復継続運営する必要がない
- 設備投資に費用がかからない
- 利用者との交流を楽しめる
- 運営資格は不必要
- 必ずしも英語が話せる必要はない
- お出迎えする義務はない
- 農家が農業体験合宿する(農家民泊)場合許可は必要ない
旅行者のメリット
- 泊まる家の「評価」で選べる
- 仲介を通し、宿泊する部屋やサービスが事前にわかり安心して利用しやすい
- 一般のホテルや民宿より安価に利用できる
など。利用しやすいサービスが整っている背景があります。
一方でデメリットもあります。
民泊経営者のデメリット
- 合法的に運営する必要がありる
- 部屋を汚されたり壊されるリスクがある
- 見慣れぬ人が出入りするため周辺住民から苦情が出ることもある
- 部屋の掃除などメンテナンスが必要
- 使用細則・仕様マニュアル作りが必要
- 宿泊者の生活習慣の違いから、騒音・ゴミ出し・トイレの使い方などルールを守れないトラブルが発生することもある。
- ホームステイという形で家の所有者が住みながら民泊を行う場合は、トイレやバスルームが一つで問題になる場合もある
民泊経営の法律
自宅の一部を使って民泊を考える場合にどのようなことを考えておく必要があるのでしょうか。
合法かどうかのチェック
民泊するにあたり、その形態によって対象の法律が異なります。
「民泊新法」「民泊特区」「旅館業法民泊」の三つが考えられます。
民泊新法
最近の外国人客の急増で東京や大阪のホテルは9割がた埋まっている状況と、オリンピックの関係でますます増える傾向にあることなどから、民泊への期待度も高まっています。
その流れを受けて、旅館業法に寄らない一般人が運営する宿泊施設に対する法律が2018年から施行予定になっています。
- 建築用途は「住宅」と規定されます。したがって住居専用地域でも民泊経営をすることができます。
- 年間営業日数は180日を上限としています。民泊として180日稼働し、残りはシェアハウス・マンスリーマンションとして賃貸契約をするというありかたもOKです。※マンションの管理規約に規制がある場合はこの限りではありません
- 「家主居住型民泊(ホームステイ)」と「家主不在型民泊」に分けられそれぞれ条件が異なります。
民泊特区
国家戦略特区として、民泊条例を設けて民泊経営を行うことができる区域のことです。
2017年8月の特区は、東京都大田区、大阪府の一部、北九州市、新潟市です。通常の民泊新法や、旅館業法に関わらず、条例に従った民泊が可能です。
旅館業法民泊
ユースホステルやカプセルホテルなどと同じ簡易宿所として、旅館業法上の規約に従って保健所の営業許可を受ける必要があります。
その場合、住宅用途から用途変更を行う確認申請を提出する必要があります。
確認図書一式のほか、消防法の基準、旅館業法基準をクリアし営業許可を受けて初めて営業可能となります。
自宅を民泊に使う場合の注意事項
今あるものを生かす
以上に見てきた内容をまとめると「今あるものを極力生かしながら、180日ぐらいを民泊で、あとの6カ月はマンスリーの賃貸契約をして貸し出す」方向性が妥当かと考えられます。
その場合にも極力プライバシーを確保しつつ、トイレ、シャワー設備を新設し、快適な暮らしを損なわない方向でのリフォームが良いでしょう。
マンスリー契約と民泊をセットにしたビジネス
「マンスリー契約」をメインにし「民泊」は空いたときに行うスタンスがバランスを取りやすいかもしれません。
いずれにしても部屋を使う人を良く選び、よりよいマニュアルを作成することで理想的な民泊経営が可能になる可能性は高まります。
ニーズがどれほどあるか
ホテルでもマンションでも「立地」がとても大切と言われます。
空室が出るか出ないかは立地次第と言われる中で、民泊は立地だけが上部というわけでもなさそうです。
レンタカーを借りれは移動はできますし、最近は観光客の目的は「体験型」になりつつあると言われています。
秘境を温泉旅もあれば、農業体験旅、古民家宿泊体験旅など、テーマに魅力を感じる人も増えてきていると言います。
故郷がない子どもをもつ家族が体験旅先として不便な田舎だからこそ良いというケースもあるわけです。
そこにニーズがあるかどうかは、各都市のホテル旅館の稼働率が8割以上かどうかが目安になるという事です。
まとめ
定着しつつある民泊ですが、「やってみたい」と少しなりとも思われたなら、実際に近所でやっている人にインタビューするのもいいですね。
自宅をシェアハウスとして開放するのは楽しげに見えても、実際に動き出すには勇気がいることですし、集客に難しい地域もあるでしょう。
けれども民泊なら自分の暮らしをそれほど変えずに始めるリスクを軽減できるかもしれません。