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床材にはこんなにも種類があった!?

マンションリフォーム 床材選びの注意点

マンションリフォーム 床材選びの注意点

マンションのリフォームを検討している方に質問です。 その床、本当に貼ってもいいフローリング材ですか? というのも、マンションの床材には非常にデリケートな防音問題が絡んでおり、このポイントを無視して計画を進めてしまうと、非常に厄介な近隣クレーム問題に発展してしまうこともあるのです。最近では無垢フロア材を貼りたいというご要望も多数聞きますが、マンションリフォームに無垢床材を貼ることは本当にできるのでしょうか?今回はそんな床材選びと方法について書いていきたいと思います。 マンションの床材選びの重要なポイントを押さえた上で、気持ちの良いリフォーム計画を進めましょう!

マンションの管理規約

マンションには管理組合というものがあります。管理規約とは区分所有法に基づいた規約のことで、区分所有された日本のマンションにおいて区分所有者相互間の関係を定めるための規則です。管理規約の中で義務付けられている内容は様々ですが、多くの場合この中で床材に関する規定があります。床材は上下階の物音問題に直結してしまうデリケートな問題であるため、規定にのっとった床材を選ぶ必要があります。よくあるルールとしては、遮音性能が保障されたフローリングの仕様が義務付けられているというものです。LL-40やLL-45などの規定がある場合はこれらの数値をクリアしたフローリングしか利用できませんし、防音性能を保障した束を利用しなければいけません。
「LL-」という記号と数値は、通称「L値」と呼ばれており、遮音等級を表す数値として業界でしばしば使われている表記です。マンションの上階で発生した床衝撃音が、下階でどの程度聞こえてしまうのか、という事を基準として等級が設けられており、この数値が床材選びのひとつの目安となります。
しかしこの「L値」は、あくまで床材メーカーがある想定条件の下で推定される指標であり、その床材を使用すれば必ず推定の性能が得られる、というわけではありません。マンションによって周辺環境も違えば、構造や間取りも異なります。季節や気候によっても音の伝わり方は変わりますし、極論を言ってしまうと聞く人の耳の良さや体調によっても異なってしまうものです。「あくまで推定の数値である」ということを理解した上で、誤解のないようにしましょう。

遮音性能が取れたフローリング

遮音性能が保証されたフローリングという商品は各メーカーから出されています。新築マンションに貼られているフローリングも多くはこのタイプで、歩くと少しふわふわとした感触があるタイプのものです。合板の底にクッション性の高い素材が貼られており、スラブに直に貼っても足音などが遮音できるというものです。種類も豊富で各メーカー様々な商品を出していますが、無垢フロアでこのようなタイプのものはありませんし、ヘリンボーン貼りやパーケット貼りといった特殊な貼り方をすることは出来ません。各種取り揃えていますが、ダイケンやパナソニックがよく利用されます。他にも永大産業や朝日ウッドテックなど、出来るだけ表面の木目を無垢フロアに近い質感で製作しているところもあります。
しかし先ほども記載したように、遮音性が記載されたフローリングも、計画する場所によっては遮音を約束できない場合もあるため注意が必要です。

防音束を使った場合


参考:https://www.fukuvi.co.jp/product/21/02/228

先ほども書きましたが、遮音性の取れていないフローリングや無垢材をどうしても使用したい場合は、防音性能をクリアした束を利用するという方法があります。しかしこの方法にはクリアすべき注意点が他にあります。まず束の条件として、どのような条件下でLL-45などの遮音性のが発揮されるのかを調べておくことが必要です。例えば、「マンションの躯体スラブ厚が150㎜以上取れていることが前提条件で、束を使用した場合に遮音性能を発揮する」というものであれば、リフォームしたいマンションのスラブ厚が150㎜未満の場合、遮音性能が発揮できないため、利用出来ないということになってしまいます。スラブ厚を調べるにはマンションの竣工図面が必要ですので、管理規約の確認と同時に管理事務所や管理人さんに言って確認させてもらうようにしましょう。基本的にはコピーを取れないことが多いため、メモの用意を忘れずに。
さらにシートのような素材ではなく、束を立てるわけですから、どうしても床のレベルが数センチ上がってしまいます。フローリングを貼らない部屋との間に段差が出来てしまったリビング、バルコニーへ出る窓との間に段差が出来てしまったりと、その他の部屋との高低差を事前に確認しておく必要があります。

フローリングではない床材をフローリングっぽく貼る


参考:https://image.rakuten.co.jp/kabegami-luck/cabinet/cf/series/01/ycfse01_main_.jpg

そもそも遮音性能に関する規約はフローリングに対してのルールです。カーペットやタイルを利用したい場合は適用されません。この方法は実際の木を使ったフロアは諦めなければなりませんが、フローリングっぽい木目調で十分という方には、床上げも必要ありませんし、オススメの方法です。
例えば、木目調のクッションフロアを利用したり、TAJIMAの木目調の塩ビタイルを利用するという方法です。最近では木目の質感も非常にリアルで、本物と見境なくなっておりますので、サンプルを見てみてこちらでもいいという方は多いようです。1点だけ注意が必要なことは、リフォームによって畳だった部屋がタイルや床材に変わってしまうと、管理規約に問題がなくても、その実態は音が響きやすくなってしまうという点です。ルールに従って計画したものの、実際下階の方には迷惑をかけてしまう、ということを理解した上で、常識の範囲内の計画を心がけましょう。

以上、3つのパターンをご紹介しました。実際一つ目の遮音フローリングを利用することが最も多く、規約に対しても確実な方法です。物音の問題は上下階の関係に直結してしまう非常にデリケートな問題なので、ご自身がどうしても貼りたい床材があったとしても、必ず管理規約を守って施工するようにしましょう。