中古住宅を購入する場合、購入前に買主が勝手にインスペクション(住宅調査)を行うことはできません。ある程度目視で「中古物件の見る目」をもっておくことで、購入判断をすることがとても大切です。
目次
ちょっと待って!そもそもその家リフォーム可能!?戸建編
家が欲しいが新築までは費用が出ないという場合中古物件を購入するのも一つの選択肢です。
好立地でも家付きの土地は比較的安価に手に入りやすいということもあり、中古物件をリフォームして暮らすというのはとても効率的でよい方法なのです。
ただ、落とし穴はあります。
「白アリ被害で土台が弱くなっていた」
「地盤沈下があった」
「元々欠陥住宅で、隙間風の多い寒い家だった」
など、購入する前に思っていたよりもリフォーム費用がかさんでしまう、という場合に予算計画が崩れてしまいます。
中古住宅やマンションをリフォームして暮らす目的で購入する場合は必ず、リフォーム費用ができるだけ抑えられる物件を選びたいものです。
場合によってはリフォームすらできない物件の存在も皆無ではありません。
事前のチェックは怠りなく!
リフォームして使える中古住宅かどうかのチェックが必要なわけ
戸建ての中古住宅の場合、躯体(構造体)のみ残すリノベーションが可能かどうかをチェックします。
内装だけリフォームする場合でも、躯体の安全性が確保できない家に住むことはできませんから。
躯体の安全性が確保された上で、どのようなリノベーションを行うかは、予算次第で自由です。
住宅調査、インスペクションとは?
リフォーム会社によって工事が着工してから中古住宅の躯体状況がわかることが多く、改修のための膨大な追い金が追加されたりして中古住宅売買トラブルの原因になっています。
現在ではインスペクションを専門とする業者がたくさんあり、中立的に工事の調査をすることができます。
宅建業法におけるインスペクションに関する法改正について
インスペクションに関しては、本来ならば中古物件を扱う不動産会社によりなされた上で「認定済み」物件として販売されるのがスムーズかと思えます。
しかし、現在のところそういったシステムは義務化されておらず、国を挙げて整備中といったところです。
宅建業法が一部改正され、インスペクションを促進する目的で仲介業者と買主の間に行われるべき説明責任などの項目が付加され、2018年4月1日に施行されることが決まっています。
この法律改正にはどんな意味があるのでしょうか。
物件購入は、自己責任で!?
この法改正の最終目的は「仲介業者によるインスペクションの義務化」です。
2018年から施行される法改正はその第一歩ともいえる動きであると評価できます。
ただし、購入者にとっては「購入する物件が重大な欠陥を持つこともある。インスペクション調査を求める場合は契約に盛り込むか、購入後自分自身で住宅調査を行う必要性が出る可能性もあるということを認識の上でで購入契約する。」というスタンスが必要であり、購入者の自己責任をしっかり問われることになります。
しかし、購入前に買主が勝手にインスペクションを行うことはできないので、ある程度目視で「中古物件の見る目」をもっておくことで、購入判断をすることが、とても大切です。
リフォームに向かない中古住宅をチェックしよう
では、実際どのように自分自身の目で中古住宅を見極めるのでしょうか。
インスペクション業者のチェック項目を参考に見ていきましょう。
外部の目視チェック事項
「基礎」「外壁との軒裏の構造」「外壁と軒裏、屋根、ベランダの雨水状況」で、仕上げの状態を以下の内容で調べます。
- 0.5ミリ以上のひび割れ、
- 深さ20ミリ以上の欠損がないか、
- コンクリートの著しい劣化がないか、
- 錆を伴うヒビがないか、
- 鉄筋が飛び出しているところがないか
- 防水層、防水シート、シーリングの破損がないか
- 屋根材のずれや破損がないか
- 天井下地材の、うき、はらみ、剥落がないか
- 腐朽、腐食、アリなど虫害がないか
内部の目視チェック事項
「天井裏小屋組み、梁の構造と雨漏り」「内壁、柱の構造と雨漏り」「床、土台、床組み構造」
- 柱・壁にひび割れ、劣化、傾斜がないか
- 雨漏りの跡がないか
- 床の傾斜や著しい沈みがないか
- その他
設備に関するチェック事項
「設備給水・給湯管」「設備排水管」「設備換気ダクト」
- 赤水が出ないか
- 漏水はないか
- 排水詰まりはないか
- 排気ダクトの破損はないか
などです。
インスペクション業者の場合、機械を使った計測も行いながらこれらの項目について調べていきます。
建築基準法などの法律における遵守事項
接道義務
住宅を建築する土地は道に面していなければなりません。
建築基準法に定められた条例で、車が一台入れる2m(3m地域もアリ)道に接することが義務づけられています。
土地を分ぴつした場合や、古い住宅地では基準に達していないケースも現存します。
そうした建築物は新たに家を建て直すという事ができません。暮らし続けるためには既存の建物をリフォームするしかありません。
消防法上も避難路の確保が難しい場合があるので、できるならば違法な建築物でない場所への移動が望ましいです。
建築基準法違反
住居に関する法律や条例は「都市計画法」「建築基準法」「消防法」「民法」などの他にも様々な規制等があります。
都市計画法で定められた地域により、建築面積や床面積、高さ制限、人がいる居室は窓の採光面積や避難路確保、隣地からの距離、耐震基準、接道義務など。
排水に関して許可が必要な場合もあります。リフォームがことのほか大規模になり建築許可申請が必要になる場合には、改めてすべての法律に鑑みて審査されますので、注意が必要です。
人命が危険にさらされないための法律ですのでおろそかにはできません。
地盤沈下など
建物を建てる時に、地盤の調査をします。
家の躯体(構造体)を設計する構造設計には欠かせない調査で、建物の基礎設計のために必要なのです。
しかし、想定外の地震や津波などで地盤が液状化し、強度が得られなくなってしまったということも時にはおきます。
そもそも地盤調査をしていないというのは論外としても。
何らかの理由で地盤が傾き家も傾いてしまった、という事は「ありえないこと」ではないのです。
まとめ
「中古住宅を安く購入して全面リノベーションする」
「できるだけ程度の良い中古住宅を購入し、部分リフォームしたい」
「古い住宅は壊して新築する」
どのケースにおいても、購入する前の事前チェックは必要です。
法律は売買契約における購入者を守るようにはまだまだ整備されていないのが現状だからです。
ある程度のところは自分の目で確かめて、理想の家をできるだけ費用を抑えた形で手に入れたいものですね。