中古住宅を購入する場合にどちらかを迷ったら、屋根の形も一つの選択しとして決めることができるようになるということを主眼に置いて屋根の形のお話をしていきます。
目次
リフォームの観点からの屋根のデザイン
屋根のリフォームというと、葺き替え工事や塗装工事が対象になります。
葺き替え工事については「屋根材の種類と特徴、メリット、デメリット」記事を参考にしていただくとして、ここでは屋根の形について突っ込んで考えていきます。
既存建物の屋根の形状を変えることは、主要構造部を変更することになるので確認申請が必要になります。
形はともかく軽い屋根から重み屋根に変更することで全体の構造を見直す必要が出てきます。
ですから基本的には屋根の構造や素材を変えるリフォームはあまりお勧めできません。
ここでは、中古住宅を購入する場合にどちらかを迷ったら、屋根の形も一つの選択しとして決めることができるようになるということを主眼に置いて屋根の形のお話をしていきます。
屋根の形状と特徴
建築工法の多様化や輸入住宅の広がりから、様々な形の家が日本中で見られるようになりました。
風土に合った地産地消の家から、世界中の材料が日本に持ち込まれる輸入住宅も増え、住宅の形も素材などもグローバルなものに変化してきています。
それにより選択肢が増えたことや、外国のものを日本の風土に合うようにアレンジする技術も高まって、より快適な暮らしを追求できるようになったのは良いことです。
逆に、材木に付いてやってきたアリや植物の「外来種」が日本に持ち込まれることによる地球生態系への悪影響は免れず、1000年単位の長い生命を生きる地球にとっては負担にもなる側面を内在しています。
国を挙げて行う低炭素型住宅、省エネ住宅に貢献することにより、地球への負荷を減らすことも視野に入れた家づくりは今後ますます欠かせない要件と言えます。
そんなことを念頭に置きながら、まずは日本で見られる基本的な屋根に付いて述べます。
切妻屋根
四角い家の平行な二方向へ傾斜する三角屋根で、屋根のツマ部分がケーキのように切られてツマが見える形状です。
ツマの壁面に庇がないので、窓を設置する場合は、窓上に庇を付けて対応します。
雨の多い日本では、庇がない窓は雨の振り込みにより非常に使いづらくなります。
切妻屋根は構造が単純なので比較的雨仕舞がしやすく、瓦屋根を葺きやすいので多くの日本家屋に採用されています。
大屋根にし、ムクリを付けて丸みを作ったり、反り上がらせる工法は社寺など伝統的建造物の屋根に多く見られます。
一般住宅の屋根ではツマ側のケラバ、軒先部分が傷みやすく、状態のメンテナンスチェックのポイントになります。
寄棟屋根
家の4方向に庇を張りだすことができる形状です。
日本瓦で施工する場合は部分的な寄棟である入母屋という形式が用いられます。
洋式のカラーベストや金属屋根に良く採用されるシンプルな形状です。
庇の無い壁面ができないので、小さい庇を単独で取り付ける必要がありません。
ただ棟の接合部が施工上の難所で、雨漏りが起こりやすい箇所です。
ここがメンテンナンスチェックポイントです。
入母屋屋根
寄棟屋根を日本瓦で拭きたい場合は、入母屋屋根になります。
接合部が多く入り組んだ形状の複雑な屋根にはそれだけ雨漏りのリスクが高まります。
接合部から雨漏りが起きていないかをチェックします。
越屋根
日本家屋で換気口や採光のために造られるものに、棟部分を立ち上げて腰壁を作った屋根があります。
屋根形状が複雑になりますので、接合のメンテナンスチェックを怠らないようにしましょう。
陸屋根
ビルの屋上などにパラペットを立ち上げて防水シートや鉄板などを張りわずかな勾配で雨水を流すタイプの屋根です。
木造ではほとんど施工されませんが、鉄筋コンクリ―造ではほとんどが陸屋根になります。
防水シートの傷みがないかをチェックします。
片流れ屋根
壁の一方向のみに雨が流れる形状の屋根です。
シンプルなデザイン性で人気のある屋根ですが、屋根のない壁の窓や、壁そのものが雨に直接さらされます。
水垢が付きにくい壁素材にするとよいでしょう。
一方向に雨水が集中するので樋などのメンテナンスは欠かせません。
招き屋根
高さが異なる片流れ屋根を人の字に招き入れた屋根です。
一方向にコシ壁ができるため、高窓を取り付け換気窓や採光窓に利用できます。
招き屋根の接合部から雨漏りが起きやすいので注意して施工する必要があります。
屋根の形状は家のスタイルを決める決定的な要素です。
ですから、凝ったデザインにしたい気持ちもわかります。
けれども、最も雨漏りに悩まされる部分ですから、できるだけシンプルであるに越したことはありません。
屋根リフォームで付加できる機能
近年では屋根で太陽光発電を行うことも増えてきました。
フリーエネルギーで発電できる未来型の家は今後ますます増えるでしょう。
その場合に広く面積をとれる屋根を活用する場合が多いのです。
そのほかにも屋根の機能として使用できるものをピックアップします。
機能屋根システム
穴を開けずに太陽光パネルを設置できる屋根システムです。
太陽光発電を考えている場合は便利な機能です。
太陽光パネルを後付けする場合は、屋根に穴をあけて取り付けます。
取り付け部分からの雨漏りには十分に気を付けなければなりません。
太陽光採光システム
屋根など効率的に太陽光を集められる場所に、集光機を設置し、光ファイバーを通して室内の光が届かない部分や地下室への採光を行います。
日光が当たらない部屋で長時間を過ごすと健康に支障をきたすこともありますから、どうしても採光をとれない部屋には朗報です。
無落雪屋根
豪雪地帯の雪下ろし対策として、落雪しない、雪下ろしをしない、強制的に雪を解かさないという家づくりの例や、井戸水を使用した方式もあります。
落雪を自動的に行うシステムも見られます。
まとめ
屋根の形状は家の印象に大きくかかわるものです。
ですが、日ごろはそれをじっくり見ることもなく暮らしていることが殆どです。
その存在に守られていることを忘れているということは安心安全な暮らしを送っているバロメーターなのかもしれません。
しかし、だからこそ家の誕生日ごとに接合部や金物部分など、チェックすることをお勧めします。
小さな傷の内にメンテナンスすると耐用年数は倍ほどにも伸びるものなのです。
塗装をやり替える時にも各所のチェックをして修繕して大切に使いましょう。